都市緑地のヒキガエル

ヒキガエルは東京の都市緑地を象徴する生き物です。

東京に住んでいる人は意外に思うかもしれませんが、関東地方以外では、ヒキガエルは自然度の高い里山や山間部にしか生息しておらず、都市部で見られることはありません。

東京では、都心の小さな公園にも高密度で見られることがあり、あたかも外来種であるかのようです。実際、都会のヒキガエルは、東日本産の在来の亜種と人為的に持ち込まれた西日本産の亜種が交雑したものであることが知られており(Hase et al. 2013, Ecol & Evol)、そのことが東京でのヒキガエルの繁栄に関係しているのかもしれません。

 

ヒキガエルといえば、2月の終わりごろに見られる、蛙合戦と呼ばれるレック形成(オスとメスが繁殖のために集合すること)が有名です。都内では、浅瀬のある池があれば必ずといってよいほど、蛙合戦が観察できます。こんなにドラマチックな光景が身近に見られるのは、東京に住んでいる人の特権です。ぜひ一度観察してみてはいかがでしょうか。

 

 

2014年は、筆者のフィールドでは、2月上旬と下旬に小さなピークがありました。比較的時期がばらついてしまい、一度に観察された個体数は多くありませんでした。